虚子探訪(82) 葛城

【虚子探訪(82)】

 

「葛城の神み臠(みそな)はせ青き踏む」

 

大正6年2月10日。帰省の途次堺に寄る。白鳥吟社主催堺俳句会に出席。泊雲、泊月、躑躅、浜人、はじめ、九品太、月斗、一転、梅史、桜坡子等と共に。葛城の地に在る神様をご覧になりながら、草の萌え出た野の散策を楽しまれた、の句意。「臠(みそな)わす」は、天皇が御覧になる意の雅語的表現。

 

「山吹の雨や双親堂にあり」

 

大正6年4月15日。国民俳句会。江戸川畔清風亭。山吹は鮮やかに黄色の花をつけ今が盛り。雨は山吹の花を濡らして降り続く。両親はすでになくなり、お寺の御堂に祀られている。山吹と雨を見ながら、両親のことを追憶しているのである。