虚子探訪(118) 春寒

【虚子探訪(118)】

 

「麦踏んで若き我あり人や知る」

 

大正14年1月27日。中田みづほ渡欧送別句会。発行所。偶々より江来会。

若々しい自分を感じたのである。他人は知らないだろうが意識はすごく若いんだよと、「麦踏」の季語にのせた弾む思いが伝わってくる。

 

「春寒のよりそひ行けば人目ある」

 

大正14年2月。『喜寿艶』の虚子の自解は、「春寒の時候、男女二人が互により添うて行き度いのであるが、人目といふものがあるので、さうも行かない。」とある。