【虚子探訪(72)】
「うき草のそぞろに生(お)ふる古江かな」
大正3年1月14日。京都に至る。祇園左阿弥の晩句会に臨む。古い入江に、浮草がふわふわと落ち着かない様子で生えている。京都祇園の句会にイメージを合わせたような句。
「時ものを解決するや春を待つ」
大正3年1月16日。大阪瓦斯倶楽部の俳句大会に列席。会者8、90名。青々、墨水、一転、躑躅、巨口、月村、露石、素石、月斗、鬼史、王城等。
時間が問題を解決するだろう、春の到来を待つとの決意表明。前年の大正2年虚子は、俳壇に復帰するが、問題は山積していた。「春待つ」の季語から、虚子の心情が伝わってくる。