江国滋『癌め』(角川文庫)を読む。江国滋は俳句の面白さを教えてくれた人。『俳句とあそぶ法』や、東京やなぎ句会の本を楽しく読んだ。
江国滋が食道癌で亡くなったのが62歳、意外に若かったなあと思う。もうすぐ自分がその年になってしまう。面識のない人だから、闘病のしかも最後は本人の死で終わる、こんな句集も読むことができるのかもしれない。癌患者はめずらしくなくなり、人は必ず死ぬと頭でわかっていても、つらいね。解説で友人の小沢昭一が、まだ『癌め』を読めませんと書いている気持ちがわかる。
残寒やこの俺がこの俺が癌
江国滋『癌め』より。