『俳句』5月号付録

角川の『俳句』5月号を発売日に購入。何と今月号は、定例の俳句手帳(夏)と「現代俳人名鑑」の付録が2個もついている。「現代俳人名鑑」は創刊65周年事業の企画らしいが、3分冊となる予定。1人自選10句が載せられており、北大路翼から後藤比奈夫まで多彩な顔ぶれが楽しめて、お得感あります。

 

つくづくと寶はよき字宝船

 

後藤比奈夫の句。

 

 

山桜

散歩の途中、まだ散りかけの山桜が美しい。山ツツジの紫がここかしこに流れるように花を咲かせている。一斉に草も樹も新芽を出して、いよいよ夏への助走の始まりである。

小学生がにぎやかに学校へ登校していく。もの皆生気あふれる時節となった。おこぼれを頂戴しますか。

 

山国の空に山ある山桜

 

三橋敏雄の句。

 

藤井聡太、羽生に勝利

十四歳の中学生プロ棋士藤井聡太四段(愛知県瀬戸市出身)が、非公式戦ではあるものの棋界第一人者の羽生善治三冠を破り勝利。藤井はデビュー後13連勝と新記録を更新中。

羽生もすごいと思ったが、さらにすごい新人が現れた。後生おそるべし。

 

人は影鳥は光を曳きて春

 

永方裕子の句。

 

 

 

麗日

本日快晴。空に一片の雲なし。光があふれ、朝の空気が気持ち良い。部屋の窓を開け風を通す。こんな日は外に出かけるに限るけど、何も予定はありません。

家のチューリップは満開で、隣に植えてある水仙がしなだれてチューリップに言い寄るがごとく咲いている。チューリップも困惑の表情。家の庭には、いきおいよくタンポポがあちこちに咲きだした。タンポポの黄色をしばらく楽しむとしますか。

 

うららかやかんばせ風にふちどられ

 

行方克己の句。

西村和子

ふらんす堂の『シリーズ自句自解Ⅰベスト100 西村和子』を読み終える。昭和23年生まれの著者は句歴50年。俳句が好きでしかたない人という印象。しみじみと心に響いてくる句が多い。結婚、育児、離別、人が生きていくということを100句が語りかけてきます。

 

水音と虫の音と我が心音と

 

西村和子の句。音という字を読み方をそれぞれに3つ使い、静謐な時間へと読むものを引きずりこむ。お見事。