フォルティシモ
【自解・萩原12】
「プチトマト斑の赤を山と盛る」
ミニトマトよりさらに小さなプチトマト。どんぶりに山盛のプチトマトは、濃淡いろいろな赤があり、まさに斑模様。
「フォルティシモ桃はち切れて滴りぬ」
『俳句』で「桃」の題が出され、なかなか句が作れなかった思い出がある。完熟した桃を食べた時の果汁がほとばしる食感を「フォルティシモ(∬)」に込めたつもり。
「七夕や玄関出てく下駄の音」
浴衣を着て七夕祭に出かける子供たちの下駄の音が玄関から聞こえてくる。「出てく」は出て行くの意だが、表現が未熟だったと反省。
「帆の遠く手をふるあなた消えゆけり」
実父が逝去した部下への弔句。彼岸の彼方へと去りゆく帆船に別れの手をふるイメージ。無季の句。
「山百合の花大きくて首傾ぐ」
山百合は白い花を咲かせる。ラッパのような大きな花は重たげで、首を傾げているように見えた。