虚子探訪(49) 酒旗

【 虚子探訪(49)】

 

「老僧の骨刺しに来る藪蚊かな」

 

明治40年。刺すところは骨しかないような、痩せ老いた僧のところへ藪蚊が飛んできた。刺されるぞ、ご用心。「骨刺しに来る」が面白いと、虚子はこの句を残したのかもしれない。

 

「酒旗高し高野の麓(ふもと)鮎の里」

 

明治40年。酒と書いた旗が高く掲げられ酒が売られている高野山の麓の飲屋。この地は鮎の里で鮎が名物、酒のつまみは鮎料理にしようか。禁制の酒と高野山の対比が面白く、「酒旗高し」と「高野山」どちらも「高い」。句の調子も軽快でユーモア漂う。