虚子探訪(71) 巨人

【虚子探訪(71)】

 

「年を以て巨人としたり歩み去る」

 

大正2年12月。第三日曜。発行所例会。ゆく年を巨人に見立てた。巨人は歩み去っていく。どうすることもできない、見送るばかり。季語は「年歩む」で年の暮を表す。

 

「我を迎ふ旧山河雪を装へり」

 

大正3年1月。松山に帰省。同月12日夜、松山公会堂に於て。自分を迎えてくれた故郷の山河は去年からの降雪で真白であるなあ、との句意。