虚子探訪(102) 夏帯

【虚子探訪(102)】

 

「藤の根に猫蛇相搏つ妖々と」

 

大正9年5月10日。京大三高俳句会。京都円山公園、あけぼの楼。藤の木の根元で猫と蛇が争っている。からみあう藤の木のようにその光景は、怪しげで不気味。

 

「どかと解く夏帯に句を書けとこそ」

 

大正9年5月16日。婦人俳句会。俳句を揮毫してくと、帯を解いて差し出された。「どかと解く」の上5に強い衝撃力を感じる。帯を解くという状況がまた艶のある世界へいざなう。