虚子探訪(204) 狐の顔

【虚子探訪(204)】

 

「つく羽子(ばね)の静に高し誰やらん」

 

昭和8年1月9日。笹鳴会。丸ビル集会室。

羽子板の羽が静かに高く空中に舞い上がった、突いているのは誰だろう。

 

「襟巻の狐の顔は別に在り」

 

昭和8年1月12日。七宝会。松韻社にて。日比谷公園

冬の日比谷公園を狐の襟巻をした婦人が、こちらへ向かって歩いてくる。高価な襟巻をしたとりすました婦人の顔と襟巻の無表情な狐の顔と。