虚子探訪(225) 初嵐

【虚子探訪(225)】

 

「何となく人に親しや初嵐」

 

昭和9年8月23日。丸之内倶楽部句会。

暦上は秋だが、暑さはまだまだ厳しい。その頃に野分の先駆けのような風が吹いてくることがある。この秋初めてのその風に、久しく忘れていたものに出会ったような懐かしさをおぼえ。自然だけでなく人に対しtても、ある親しさを感じるのである。しみじみとした心持ちを詠んだ。

 

「よべの時化(しけ)最も萩をいためしか」

 

昭和9年9月11日。箱根、見南山荘。

昨夜は強い風雨で大荒れだったが、最も被害が大きかったのは萩だったか。