虚子探訪(232) 春の土
【虚子探訪(232)】
「園丁の指に従ふ春の土」
昭和10年4月4日。みづほ歓迎会。百花園。
中田みづほは、新潟医大の脳外科医である。虚子に師事し、秋桜子、素十らと東大俳句会を結成。俳誌「まはぎ」創刊主宰。百花園の園丁の作業を見ている。春の土は、素直に園丁の指先に従うのである。
「椿先づ揺れて見せたる春の風」
昭和10年4月20日。あふひ還暦祝。百花園。
本田あふひ女史への贈答句。春風に呼応して揺れる椿に託し、彼女の積極的に生きる姿勢を讃えた。