虚子探訪(234) 藤

【虚子探訪(234)】

 

「藤垂れて今宵の船も波なけん」

 

昭和10年4月26日。石手寺、湧ケ淵吟行。豊阪町亀の井。此夜神戸舟行。

風もなく藤は静かに垂れて、今晩乗る船は波もなく無事な航海となるだろう。「なけん」は古い語法でないだろうの意味。

 

「旅荷物しまひ終わりて花にひま」

 

昭和10年4月29日。舞子、万亀楼。

旅の荷物も片付け終わり、桜を見たり、好きなことをしてのんびりしたり。