俳句の縦書きについて

『俳壇』10月号に神野紗希が「俳句の縦書き/横書き 表記の効果」を寄稿している。私も以前、俳句の縦書きについて文章を書いたことがあるので興味深く読んだ。神野紗希は表記はそれ単体で力を発揮するのではなく、句の言葉が指し示すイメージと連動することで効果を発揮することを、高柳重信の句などにより論証している。世の中には、頑なに俳句は縦書きであらねばならないと主張する人もいるが、表記の方法は俳句の本質とは無関係である。縦書き横書きにこだわりはないが、世間的には横書きが大勢になりつつあるなかで、横書きの句集とかあってもいいと思うのだが。神野のいうように未知の可能性の領域が、そこに広がっている。


鶴啼くやわが身のこゑと思ふまで


鍵和田秞子の句。