句集『稲津』(9)鏡餅

【句集『稲津』(9)】

 

2014年「緑蔭」より。

 

お正月子供の増える田舎かな

 

少子化が進み子供がいない。地元の小学校も2クラス編成が難しいと聞く。数年前に隣町の小学校と合併したが、市内各地区同じような状況にある。田舎が労働力の供給源だったのは昔話になりつつある。それでもお正月には兄弟親戚が子や孫を連れて来て、一時的に子供数が増える。

 

ひび割れのさらにも増して鏡餅

 

鏡餅も正月三が日が過ぎ、時間がたつともに表面にひび割れが発生する。長い時間の経過すれば、痛みや傷が発生するのは餅も人間も一緒である。それでも鏡開きまでは、決められた場所に鎮座していなければならない。