訃報

隣家の訃報が入り弔問に訪れる。肺ガンで入院し2週間後に亡くなった。すでに癌が全身に転移し、手の施しようがなかったとのこと。享年90歳。今週は近隣での訃報が続いた。死は誰にも訪れる。未だかつて死ななかった人はいない。私も祖父、祖母、30代には父を送り、去年母を看取った。いよいよ自分の番である。故人がいなくなっても世の中は何も無かったかのように過ぎていく。心に生まれた空白を時間をかけて埋めていくしかない。しかし人間に死がなかったら、人は生を大切にするだろうか。やがて無くなってしまうという前提があるからこそ、人は生きられるのではないだろうか。生死は不可分、一体のものなのだから。


弔問の人出て行けり春の月