小椋佳

今週NHKの歌番組で小椋佳の姿を久しぶりに見た。来年でコンサート活動は終了するとのこと。小椋佳も78歳、もはや往年の歌声ではない。人は誰しも引き際がある。残念だけど仕方がないことだ。

夜中に小椋佳のCDを聴いていて気づいたのは、この人の歌の根底にあるのは「喪失感」なのだと思う。歌詞に多いのは「過ぎ」の文字。過ぎ去った時間は、現在の状況に対する反措定として、甘美な抒情へと転換していく。美化された青春の追憶へと人を誘うのである。

米子空港のロビーで一度だけ小椋佳を見かけたことがある。『さらば青春』の歌を初めて聴いてから、どれだけの年月が流れたことだろう。

 

僕は追いかけはしない

遠く過ぎ去るものに

僕は呼びかけはしない 

かたわらを行くものさえ