木下夕爾「ひばりのす」

真夜中の三時に目が覚める。寝られなくなり仕方がないので、去年買ってそのままになっていた『詩人の魂 久保田万太郎』(瀬戸口宣司、アーツアンドクラフツ)を読みはじめる。その途中で木下夕爾の詩「ひばりのす」が引用されている。井伏鱒二も激賞しているが、読むたびに味わいがあって、いい気持ちにさせてもらえる。

 

ひばりのす

みつけた

まだ誰も知らない

 

あそこだ

水車小屋のわき

しんりょうしょの赤い屋根のみえる

あのむぎばたけだ

 

ちいさいたまごが

五つならんでる

まだ誰にもいわない

 

木下夕爾は、久保田万太郎が主宰した「春燈」の同人。夕爾の俳句もまた滋味溢れる佳句が多い。

 

万太郎夕爾と遊ぶ長き夜