虚子探訪(13) 蒲団かたぐ人

【虚子探訪(13)】

 

「蒲団かたぐ人も乗せたり渡舟」

 

明治31年。蒲団を肩に担いで運ぶ人が、渡し船の同乗者となった。どういう事情のある人なのかと推測したのだろう。

 

「柴漬(ふしづけ)に見るもかなしき小魚かな」

 

明治31年。「柴漬(ふしづけ)」は、柴(ふし)と呼ばれる柴や木の枝などを束ねたものを水中に沈めておき、そこに集まってきた魚や蝦を網で捕る漁法。網の中にはとても小さな魚もいて、哀れと思ったのである。