虚子探訪(18) 幟

【虚子探訪(18)】

 

「雨に濡れ日に乾きたる幟(のぼり)かな」

 

明治33年。端午の節句には、布製の旗の一種である幟をたてて子の成長を祝う。「雨に濡れ」「日に乾き」と対句表現にしたため、一句が担う時間が長いものとなっている。

 

「煙管(きせる)のむ手品の下手や夕涼み」

 

明治33年7月25日。虚子庵例会。夕方涼みに出かけると、大道芸人が煙管を呑み込む手品をしていたが、下手糞な芸だったなあ、という句。煙管は、タバコを吸うためのの喫煙道具。