虚子探訪(68) 蛍

【虚子探訪(68)】

 

「寝し家を喜びとべる蛍かな」

 

寝た家の中を喜んで飛び回る蛍である。よその家に宿泊したのが嬉しいかと擬人化して蛍を見ている。

 

「師僧遷化芭蕉玉巻く御寺かな」

 

大正2年7月。第一日曜。虚子庵例会。「遷化」は高僧が死去すること。尊師として慕われていた高僧がお亡くなりになった。寺に植えられている芭蕉の葉先も玉のような形に巻きつき、悲しみにくれる御寺であることよ、の句意。