虚子探訪(75) 強者
【虚子探訪(75)】
「清水のめば汗軽らかになりにけり」
大正3年7月19日。発行所例会。暑い日だったのだろう。清水を飲み涼を得て、流れていた汗も引き身体全体が軽快で爽やかに感じたのである。
「一人の強者唯出よ秋の風」
「一人の強者」とは何であるのか。俳句界において強い意志のもとに守旧派であるホトトギスを率いる虚子自身を指しているのではないだろうか。自分に言い聞かせて、鼓舞しているような句。「秋の風」がアウェーの風を感じさせて、よく効いている。
「秋風や最善の力唯尽す」
この句も厳しい環境下だが全力で頑張るぞという、決意表明あるいは自戒の句となっている。
大正3年9月6日。虚子庵例会。
会社への通勤する道に、ナンジャモンジャが満開。白い花と緑葉が実に美しい。