虚子探訪(77) 接木

【虚子探訪(77)】

 

「雲静かに影落とし過ぎし接木(つぎき)かな」

 

 接木をしている上空に雲があり、雲の影が地面に落ちている。やがて雲が流れていき影もまた過ぎていった。静かな時間の流れ。字余りで、リズムも悪いなあ。

 

「造化已に忙極めたるに接木かな」

 

大正4年4月18日。発行所例会。「造化」は造物主。生滅、変化して止むことのない万物、すでに多忙で限界なのに、接木をして新たな生命を育てるのである。