虚子探訪(223) 玉虫

【虚子探訪(223)】

 

「一々の芥子に嚢(ふくろ)や雲の峰」

 

昭和9年6月15日。家庭俳句会。小石川植物園

芥子は、花が枯れて数日後に芥子坊主と呼ばれる果実を実らせる。嚢(ふくろ)は、芥子坊主のことをさしている。

 

 

「玉虫の光残して飛びにけり」

 

昭和9年7月23日。玉藻句会。丸ビル集会室。

玉虫は、金緑色をした体長2~3センチの夏の虫。背中に緑色に紫赤色の二条の線が走っている。玉虫が光を反射して飛び立った時、まばゆいばかりの光が残像として残された。その一瞬の印象を「光残して」と鮮明に切り取った。