谷口ジロー『ヴェネツィア』

谷口ジローのファンである。谷口ジローの作品は大方集めたが、『ヴェネツィア』だけは定価が高いこともあって未入手だった。給付金が振り込まれたので、思い切ってアマゾンで購入。A4版の横長で全頁彩色されている。一応、亡くなった母の遺品から出てきた古いヴェネツィアの写真を契機に、画家だった祖父の姿を求めてヴェネツィアの町を彷徨する主人公というおおままかなストーリーがあるマンガなのだが、もうほとんど画集である。作り上げるのは展覧会を開くようなもの、その膨大な作業を思うと気が遠くなる。谷口ジローの散歩物をこよなく愛する者であるが、この作品を読めたのは幸福、まさに「眼福」という言葉がふさわしい。

 

夏の暁ヴェネツィア運河に反射光

 

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