句集『稲津』(85)スクワット

【句集『稲津』(85)】

万物に蜩の声しみゆけり


蜩の鳴き声が夏の終わりを告げる。その鳴き声は全ての物に沁みていく。世の中に存在するあれもこれも、慌ただしく過ぎゆくものを蜩の声が覆う。


長月や夜のスクワット続きけり


真夜中にスクワットを黙々と続ける人がいる。吐く息がだんだんと荒くなっていく。切れ字を重ねて使用してしまった。スクワットに夢中になりすぎたか。