すごいトシヨリBOOK

ドイツ文学者の池内紀が、2019年に亡くなり3年になる。晩年の著作『すごいトシヨリBOOK』(毎日新聞出版)は、亡くなっても売れ続け、帯によると7万部突破とある。この本は、池内紀が70歳になった時に始めた自分の老いを見つめた観察記録のメモをまとめたもの。池内は77歳には世の中にいないだろうと予定を立てたが、存命となったため予定を3年延長した。亡くなったのは78歳。本の最後は『僕は、風のようにいなくなるといいな。』と結ばれている。

近隣の子供の頃から知っている人が、今週立て続けに亡くなった。共に90歳半ばで、もう長いこと姿を見ることはなかったが、訃報の突然の知らせは淋しい。我が親はすでになく、両親の付き合っていた世代の人も残り少ない。みんな風のようにいなくなっていく。

 

此石に秋の光陰矢のごとし

 

川端茅舎の句。