草間時彦とサラリーマン俳句
さて、草間時彦である。
草間時彦、大正9年東京生。水原秋櫻子、石田波郷に師事した。草間は、昭和26年に製薬会社の三共株式会社に入社、当時31歳。俸給生活者、今ならサラリーマンか、その宮仕えの哀感を俳句に詠んだ。
「冬薔薇や賞与劣りし一詩人」
「勤めの身は」の前書きがある、この句が一番有名か。
「秋鯖や上司罵るために酔ふ」
「うそ寒くゴルフ談義の辺に侍すも」
とかありました。
「甚平や一誌持たねば仰がれず」
主宰誌を持たす、無所属で一詩人に徹した。食をテーマにした秀句が多い。
「公魚をさみしき顔となりて喰ふ」
「牡蠣食べてわが世の残り時間かな」
でも、草間時彦の俳句なかで一番好きな句は、
「足もとはもうまつくらや秋の暮」