虚子探訪(30) 夏花
【 虚子探訪(30) 】
「むづかしき禅門出れば葛の花」
明治37年。難解な教義の禅宗の寺院の門を出ると、葛の花が咲いていた。
「或時は谷深く折る夏花(げばな)かな」
明治37年。ある時は谷深いところでも折る夏花である、との句意。安居は陰暦四月十六日から七月十五日までの九十日間行われる仏教の修行で、俗家でも花や供物をそなえて御先祖の仏様の供養をするが、その花を「夏花」という。「谷深く」からその家があるところは、谷の近くの山里であることが想像される。
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たまには、自分の俳句も披露したい。
「群青に寒星一つ灯りけり」
「冬の雲天路歴程いま途上」
「山影を足早に抜け冬日向」
以上『南風』四月号に投句分。携帯句会は、まだ近氏のみ。皆さんお待ちしてます。