虚子探訪 (4) 大根の花

【虚子探訪 (4) 】

 

「海に入りて生れかはろう朧月」

 

明治29年。「生れかはろう」は刷新・転生を自分自身へ呼びかけた決意表明なんだろうか。それとも朧月が海に入るような感覚にとらわれたものか。幻想的な雰囲気を漂わせ、「う」音の繰り返しが句に心地よいリズムを生んでいる。

 

「大根の花紫野大徳寺

 

明治29年。紫野は京都市北区紫野のこと。大徳寺は、鎌倉時代に建立、一休和尚が再建した寺。千利休が自分の木造を置き、切腹を命じられた寺でもある。虚子は明治25年に京都第三高等中学校に入学している。