虚子探訪(41) 麻

 【 虚子探訪(41)】

 

「麻の中月の白さに送りけり」

 

麻畑の中の道を、夏の夜の白い月光下に人を送りだした、という句意。月夜の風情を感じる句。

 

「麻の上稲妻赤くかかりけり」

 

明治39年5月31日。星ケ岡茶寮小集。人の背丈以上に茂る麻畑に、稲妻の閃光が走り、赤く鮮明な色が覆いかぶさったというのである。刹那の瞬間をとらえ、「かかりけり」の措辞が絶妙。