虚子探訪(40) 主客閑話

【 虚子探訪(40)】

 

「寂(せき)として残る土階や花茨」

 

明治39年5月21日。何かの廃墟であろうか。物寂しくひっそりと、土を盛り作られた階段が残されている。今は使われることもなく、あたりには茨の花が咲き乱れるばかりである。

 

「門額の大字に点す蝸牛かな」

 

門に掲げられた額の大きな文字の上をカタツムリが はっていく。

 

「主客閑話ででむし竹を上るなり」

 

明治39年5月30日。主人と来客が物静かに話しをしている中、庭の竹をカタツムリが静かにのぼっていく。静謐でゆっくりとした時間が流れていく。