虚子探訪(58) 芭蕉

【虚子探訪(58)】

 

「園に聞く人語新し野分跡」

 

明治41年。秋。村上薺月来小会。

園の中で交わされる人の会話が、新鮮な感じがする野分の去った跡であることだ。台風一過の快晴となった風景には爽やかさと新しさがある、その感じを作者は人語に感じたのである。

 

「藁寺に緑一団の芭蕉かな」

 

明治41年。秋。蕪むし会。第9回。

藁ぶき屋根の寺、枯色に染まる風景のなかで、芭蕉の葉々が目にも鮮やかな緑色を見せている。

 

本句が明治時代の俳句128句の最後の句である。