欲望への順接性

引き続き穂村弘の『短歌という爆弾』より。

 

俵万智加藤治郎や僕は全然違うように見えて、実はすごく似たところがあって、それは欲望への順接性ね。「恋愛素敵!」とか「美味しいもの食べたい!」とか「お金使うの楽しい!」とか。もしかすると先行世代が最も嫌悪したのは、話し言葉の口語というわれわれの文体ではなくて、欲望への衒いのない順接性なのかもしれませんね。俵さんも加藤さんも僕も欲望に対してオープンというか、庶民のくせにウキウキしてる、まさに80年代だよね。庶民にまで欲望充足のおこぼれが回ってきた時代の申し子だから。

 

そうかそういうことなのかと感心して読む。時代の変わり目だったのだなと思う。