句集『稲津』(15)卒業写真

【句集『稲津』(15)】

霞立ち天のぼりゆく春の水


春に雨が降った翌日は、太陽の光を浴びて水蒸気となって空へ昇ってゆく。霞がかった白い世界が出現する。自然界の温度差が原因なのだが、水が循環している地球の神秘を感じる。


かしこまり卒業写真の人になる


「長女亜美、大学卒業」の前書き。東京外国語大学を長女が無事卒業する。卒業写真というのは、未知なる世界に飛び込んでいく不安と期待で、かしこまった姿で写っている。人生の階段をのぼるためには、卒業写真の人にならねばならない。