句集『稲津』(36)冬来る

【句集『稲津』(36)】

定規あて直線で消す冬はじめ


契約など重要文書の文字訂正をするのに、定規を使用して直線で抹消した。きっちりとした仕事が、冬の季節に共鳴する。『俳句』2014年5月号、朝妻力選者で佳作入選。


後ろ手に襖を閉めて冬来る


部屋の仕切りの襖を見ずに後ろ手で締める。よくある光景だが、やってきた冬の寒さが素早い動作を要求しているのかもしれない。