句集『稲津』(95)綾取り

【句集『稲津』(95)】

寒雀金網くぐり塀こえて


冬の寒い日でも雀たちは元気だ。金網をくぐり抜け、塀は軽々とこえて飛んでいく。飛びたいところを飛び、行きたいところへ行かなければ、生まれてきた甲斐がない。


春隣綾取りせがむ児の両手


電車で隣に若い母親と子供が座った。子供の手には綾取りの紐。しきりに母親に綾取りしてとせがむのである。親から子へと昔からの遊びが受け継がれていく。