句集『稲津』(135)竹の秋

【句集『稲津』(135)】

ふりしきる無数の時間竹の秋


竹の葉が桜の花のように舞いながら落ちていく。それはもう数えきれないほどの数。竹の幹を離れ地に着くまでの、それぞれの竹の落葉の時間。


蝌蚪の国消えて雨足強まれる


雨が降り出し、集まって泳いでいたオタマジャクシもいなくなってしまった。雨の勢いはどんどん強くなる。蝌蚪の国は雲散霧消し、流亡の民となった。