句集『稲津』(105)水すまし

【句集『稲津』(105)】

梅雨寒や水滴走るガラス窓


梅雨の時期に入り、雨の日が続く。ガラス窓に雨があたり、水滴が流れている。梅雨の日の手持ち無沙汰、気持ちも沈み肌寒い。


水すましかけあがりたる空の上


池の水面を水すましが泳いでいる。その水面には晴れた空が映っている。まるで空をかけるように、水すましが進んでいく。気持ちのよい初夏の或る日。