虚子探訪(35) 長き面輪

 

【 虚子探訪(35)】

 

「相慕ふ村の灯二つ虫の声」

 

明治38年。お互いを慕い合うかのように、村の人家に灯りが2つ点いた。あたりは一面虫の鳴く声でみたされている。

 

「もの知りの長き面輪(おもわ)に秋立ちぬ」

 

明治38年8月17日。王城、松浜と共に。物知りの長い顔に秋がやってきた。物知りの人がすべて長い顔をしているわけではないが断定している。特定の人を想定しているのかもしれない。余程長い顔が印象的だったのだろうか。