句集『稲津』(52)囀り

【句集『稲津』(52)】

一斉に名乗りをあげて囀れり


みんなが一斉に名前を告げているのだろうか。林から聞こえてくる囀りのやかましいこと。鳥たちも求愛行動に必死なのだ。賑やかに生命が踊る季節。


囀りに鴉も低く鳴きにけり


林から聞こえる囀りに反応したのか、電柱に止まっていた鴉が、俺も仲間に入れてくれとでも言うように低音で一鳴きして飛び立っていった。