句集『稲津』(54)糸とんぼ

【句集『稲津』(54)】

緑蔭に自転車の列続きけり


道に出来た木陰を自転車が何台も通り過ぎて行く。サイクリングを楽しむグループの列が出来ている。自転車のペダルを踏んで風を受け走るのが気持ち好い季節の到来である。


耳遠き母の近くへ糸とんぼ


母はすっかり歳をとり、腰も曲がったが耳も遠くなってしまった。そんな母に近づいて飛んでいるのは、糸電話ならぬ糸とんぼ。