句集『稲津』(72)遺影

【句集『稲津』(72)】

同年伊藤清自死

これきりと花投げ入れて二月尽


地元の同年で集まり飲んだり旅行したりしていた。その仲間の一人が自死したとの連絡がメールで入る。何故、死を選んだのか。答えの無いまま棺に花を入れて別れを告げた。


遺影のみ笑ひ顔なり山椿


コンビニと介護事業を営なみ、快活な人間だった。苦労はあったろうが人に愚痴をこぼすことはなかった。人は他人をどこまで知り理解できるのだろう。遺影写真が笑っている。