句集『稲津』(83)花火

【句集『稲津』(83)】

草いきれハンカチ顔を一周す


身もうだる暑さである。ハンカチで滴る汗を拭う。日本という国はいつからこんな暑い国になったのか。最高気温を頻繁に記録する多治見市は私が住む市から二駅目にある。


火の玉のふるへて上がる花火かな


花火は地上から火の玉が空へ打ち上げられる。花火が上る姿はふるえているようだ。火薬が破裂して花開くまでの緊張と期待の視線が集まる。