退屈について
神谷美恵子の『生きがいについて』をベッドの横に置いて、少しずつ読んでいる。名著である。本当に教えられることが多い。
「変化への要求」より抜粋する。
生存充実感への欲求が変化への欲求と密接なつながりのあることは前章でのべたとおりである。
すでに自己の生命の終りに近づいた老人にとって、草花を育てることや、孫の相手をすることが大きなたのしみになるのは、ただの暇つぶしという意味よりもむしろ若い生命のなかにみられる変化と成長が、そのまま自分のものとして感じられるからなのであろう。
生活に変化がなくなると人間は退屈する。それは精神が健康である証拠なのであって、心が病むと退屈は感じられなくなることが多い。
とすれば、この「退屈性」こそ、人間の健康のしるしであり、進歩の源泉であるといえるが、その反面、これがまた破壊性の原動力ともなりうることを忘れてはならない。
数頁読んだだけなのに、考えさせられることは多い。たまには考えることも大切だろう。
退屈と思う日もあり今日の春