『生きねばや 評伝村越化石』
俳句を始めて、初めて知った人は数多い。俳人には厳しい境遇を生きた人も多いが、「魂の俳人」と呼ばれた村越化石もその一人。村越化石はハンセン病に罹り、若くして隔離生活を余儀なくされ、最後は全盲となったが、絶望的な環境の中で素晴らしい俳句を残した。化石を指導し世に送り出した大野林火の功績は大きなものがある。今こうして生誕百年を記念して村越化石の生涯が評伝として読めるのは慶賀にたえない。著者はハンセン病の歌人明石海人の評伝を書いた荒波力である。こういう本をだす工作舎は立派だ。
生きねばや鳥とて雪を払ひ立つ
闘うて鷹のゑぐりし深雪なり
生き堪へて七夕の文字太く書く
籠枕眼の見えてゐる夢ばかり
生きてゐることに合掌柏餅
体調不良でベッドに寝たまま、本を読んで休日が終わった。たまには身の引き締まるような読書もする。
額には熱さまシート春愁ひ