虚子探訪 (7) 薬煮る母

【虚子探訪  (7) 】

 

「蚊帳越しに薬煮る母をかなしみつ」

 

明治29年。虚子の母柳は明治31年に病没。この頃すでに母の病気は進んでいたのであろう。薬を煮ている母の姿に哀しみを覚える虚子がいる。

 

「人病むやひたと来て鳴く壁の蝉」

 

明治29年。「人病むや」は母のことであろう。壁にはりついて蝉が鳴き続ける。蝉の鳴き声は淋しく聞こえたに違いない。