句集『稲津』(18)芝桜

【句集『稲津』(18)】

芝桜境界線を無きものに


春は桜の季節だが、ソメイヨシノなどの立木の桜だけでなく、地をおおうように咲く芝桜も眼を楽しませてくれる。繁殖していく芝桜には、人間の都合で決めた地面の境界など関係無い。


押入れに五月人形眠りけり


長男の成長を願って小さい頃は毎年、武者姿の五月人形を飾ったものだ。その長男も結婚して独立し、家の押入れに役目を果たしてくれた五月人形が眠っている。