句集『稲津』(23)姫女苑

【句集『稲津』(23)】

夏暁や陽の射して来る刺しに来る


夏の朝。通勤電車で会社に向かっていると
車窓に朝の光が差し込む。すでに夏の太陽は光量も熱量も十分である。起きて間もない身体は覚醒しておらず、太陽光線に射撃され刺し貫かれる気分。


今日の日を溢れ咲きたり姫女苑


姫女苑は、北米原産で明治の初頭に渡来した帰化植物。繁殖力旺盛で堤防や道端など全国いたるところに見られる。秋に芽生えて越冬し、翌年の五月から十月に花茎を伸ばして多数の菊に似た白い小さな花 を咲かせる。姫女苑は夏の季語。