句集『稲津』(48)春風

【句集『稲津』(48)】

むかうから君が手を振る花杏


道の反対側に君がいる。こちらにいる私に気づいて手を振ってくれる。手を振ってくれる親しい関係を大事にしたい。杏の花が二人を祝福するかのように咲いている。


春風を分けて電車の走り出す


駐車場から駅へ向かう途中に踏切があり、駅から出発する電車が通過する。車輪の金属音を響かせながら、徐々に速度を上げて、風を切り分け電車が走りだす。